【狼たちの"神秘的なオーラ"にご注意を】A Scent Like Wolves『Mystic Auras』レビュー
欲張らないときに限っていいことが起きやすいkmcmです。
個人的な話で恐れ入りますが、新年度早々アニメ企画の社内コンペで社長賞をいただきました。
何かに引っかかれば良いや的なノリで応募しましたが…まさかの結果に今でもビックリです。
思い返せば、懸賞で当たった時も欲を張っていなかった時にと多いので…逆に「当たってくれ!」と欲を張っているときはダメですね(笑)
もし、何かのプレゼントに当たりたいときは敢えて欲を張らないことを試しているといいかもしれません。
さて、前置きはここまでにしましょう。
久しぶりの音楽作品のレビューになります。
今回は、2月19日にリリースされたアメリカのメタルコアバンド: A Scent Like Wolvesの『Mystic Auras』です。
新メンバーを迎え、よりパワーアップした友人たちの待望の新作です!
まだ、彼らについて知らない方はこちらの紹介記事を読んでいただけると嬉しいです。
レコーディングしていた時から兄弟ツインボーカルの片割れであるAl(Vo.)から進捗を聞いていたものの、約3年近く遅れてやっと完成したと安堵のメッセージを受け取りました。
それもそのはず。世界中で深刻化なっている新型コロナウイルの流行でスケージュールが全て後ろ倒しになったとのことで、昨年リリースの予定が延期になってしまったからです。
その分、作品により磨きがかかったようで今までと違う彼らを楽しめるとか。
今頃のレビューで申し訳ないのですが、Alにブログ掲載の許可をもらっているので早速書いていきます。
その前に、実際に購入したアルバムを紹介。
AlとNickのBoltz兄弟のサインが入っていることに驚きでしたが、ポスターや手書きの手紙が入っていたので思わず涙が出ました。
アルバムを受け取る前にAlからバンドを熱心に応援してくれている私にとビデオメッセージをいただいたので、胸が熱くなりました。
もちろん好きなアーティストとして、一友人として彼らをこのブログ以外で色んな人に紹介してきたので、やっていてよかったなと思う瞬間でした。
<全体的な感想>
徐々に公開された楽曲ももちろん、アルバム全体を聴いて暫く衝撃波と余韻から抜け出せなかったですね。
「え?!これが新しいASLWなの?!」と本当に驚くばかりでした。
というのも…Alの兄であるNick(Vo.)が歌っているから!!!!!!
あののほほんしているNickがバリバリ頑張っているですよ?(本人に失礼)
あと、ゲストボーカルのメンツがヤバい。
アルバムを聴く前から「Nickが歌っている曲が多いよ」とAlから聞いていたものの、まさかの展開に状況が飲み込めなかったです。
またそれだけでなく、今までの”夜の森で突然野生の狼が襲う”ような本能むき出しの攻撃サウンドとは違って柔らかみがある楽曲であったり、同じ攻撃サウンドでもアプローチが違う楽曲があったりと色彩豊かでした。
ボーカルだけでなく、それぞれの楽器パートも以前よりテクニックに磨きがかかっている感じがします。
特にCody(Dr.)のドラミングは(あくまで中学時代にプロ並みの練習量をこなしたガチ系の吹奏楽部で打楽器を経験している私ならではの視点ですが)各楽曲の盛り上がるパートやそうでないパートでもしっかりと脈打つように楽曲の命を吹き込んでいると、聴いて思いました。
いわゆるムードメーカーですね。
メタルコア音楽と言えばの要素でドラムパートのダブルベースの多用など独特なリズムがありますが、ただ感情的に速く叩けばいいということでなくどこで山場をキめるのかと計算されているような気がしますね。
そういう意味で彼のドラミングはシンバルやタムの”小道具”の使い方、あるいは打ち込みドラムの叩き加減やここぞ!というときの場の盛り上げ方や雰囲気づくりが作品を出すごとにうまくなっていると個人的に思います。
少々オタクトークが過ぎましたが、総評として個人的には今までの作品のなかで非常に気に入ってます。
それから、今回も素敵なアートワークを手がけてくれたCory(Cully Swope、ASLWの友人であるイラストレーター)にも感謝です!
<各楽曲のレビュー>
〇Pink Dawn/Eastern Lights
そんな新作のトップバッターにギターのクリーンサウンドが耳に残るインスト「Pink Dawn」。何かが始まるワクワク感と同時にまるで突然魔法で出てきたピンク色のスモークがリスナーの視界覆うようなドキドキ感が感じられる不思議な雰囲気です。
おそらくKyle(G.)かJeff(Studio G.)が弾いているかと思いますが、ギターだけでここまでの表現ができるのは彼らの良い持ち味ですね。
そこからギターのディストーションがかかったリフで一気に流れを変える「Eastern Lights」を聴いて驚く人が多いと思います。
ASLWの兄弟ツインボーカルらしいスクリームとクリーンの掛け合わせももちろん、先述Alが言っていたNickのメロディーパートはサビで炸裂します。
シングルで公開されたときにも驚きましたが、ハイトーンボイスのAlとは違った魅力で何度聴いても気持ちが高揚します。
〇Telephone
Alの感傷的なメロディーと雫のようなギターのイントロから始まる「Telephone」は、今作最後に公開されたミュージックビデオです。
インタビュー等でBoltz兄弟(AlとNick)が語っているとおり、作詞を手掛けている2人の実体験やインスピレーションを元に歌詞を書いているのか、公衆電話越しに誰か(おそらく恋人)と話していて何か嫌な起きたような内容でしょうか。
(英語の意味が分かっても実際の歌詞のストーリーを理解するのに色んな解釈があるので難しいですが。)
ドラマチックな曲の展開で負の感情を色彩豊かに吐き出すやり方は彼ららしいですが、これこそ日本語で言う”エモい”の代名詞でしょう。
古くからのASLWファンであれば「Inside Out」(2016年発表された2ndアルバム『Frigid Future』の日本盤ボーナストラック)のような哀しさのなかにある美しさを彷彿させるトラックでしょうか。
〇Bloom(feat. JT Cavey)
哀愁漂うトラックは先程の「Telephone」だけではありません。
この「Bloom」はまるで生命力が溢れる色鮮やかな花々がやがて枯れて一弁ずつ散っていく脳裏に浮かぶナンバーとなっています。
色彩豊かで香りがたつ花もいいけれど、枯れていく花やドライフラワーにも良さがありますからね。
そういう意味では日本人特有の侘び寂びぽい部分がある興味深い曲です。
何よりもこの曲でメタルコアファン歓喜なことというと、楽曲エンディングにアメリカのプログレッシブ・メタルコアの雄であるERRAのJT Caveyがゲスト参加しています。
たった数十秒の出番ですが、彼のドスが効いたデスボは脳天に響く重厚感がありますね。
〇Poison
楽曲タイトルからして毒々しい怪しいイントロから始まる「Poison」は、個人的に好きな楽曲です。
先述のレビューで「スクリームとクリーンボーカルの掛け合わせ」について書きましたが、その掛け合わせが絶妙にハマっていますね。
それに合わせてサビのギター・ベース・ドラムのズドンズドンと鈍器を振りかざすような重々しいリフは身に沁みます。
〇Midnight Eyes
冒頭の「Eathern Lights」に繋がるインスト楽曲「Pink Dawn」のような高揚する雰囲気と真逆で夜風を当たりに外へ出た真夜中の静けさを表した「Midnight Eyes」。
こんなことを言ったら彼らには失礼かもしれませんが…。さてや、私のツボを把握しているな?とニンマリしちゃいました。
約1分20秒の収録曲とはいえ、一気に楽曲の中に入り込んだ感覚になりました。
〇Deja Vu(feat. Mattēo Gelsomino)
この楽曲を聴いてデジャブなのか、と思ってしまいました。もちろん良い意味で。
というのも、何となく2018年発表されたEP作品「Sprit Vessel」の「Devilspit」に近い雰囲気があったからです。
その真相は、今度彼らとやり取りするときに聞いてみましょうかね。
ガツンとくるベース音強めのリフと口ずさみたくなるギターのメロディの融合(フュージョン)に2018年に来日したフランス出身のポストハードコアバンドNovelistsのMattēo Gelsominoが放つスクリームと歌声は良いスパイスです。
〇Death Effect(feat. Brian Wille)
今作で様々な実験的試みをしている彼らですが、もちろん原点(オリジナル)を忘れていてはいけませんよ。
従来のファンならビビッとくる”野生の狼”のような攻撃的なサウンドとゲストボーカルであるアメリカのメタルコアバンドCurrentsのBrian Willeの追い打ちをかけるような叫びはまさに死の窮地に立っているハラハラ感があります。
〇Dissolve(feat. Booka Nile)
今作の中でひと際目立っている楽曲でしょうか。
ローテンポな楽曲ながらもギターのソロがあったりと主軸がある楽曲です。
おそらく今までの彼らのキャリアのなかで初めてとなる女性ボーカルの起用となりますが、オーストラリア産デスコアバンドのMake Them Sufferで透き通った声で魅せるBooka Nileの歌声がこの曲では妖気な雰囲気がありますね。
今作の中で個人的にこの楽曲を気に入っています。
〇Aquamarine
しっとりと浸ったところで、感情の波が押し寄せるようなエンディングを飾る「Aquamarine」。この楽曲を聴くともう終わってしまうのか…。となってしまいます。Alのハイトーンメロディは女性の私でもかなりキツイですが見事に歌い上げていますね。
ちなみに、海の水のような澄んだブルーのアクアマリンは3月の誕生石で石言葉は「幸福・富・聡明」のようです…。
調べて知ったときは思わず「尊い…」と連呼するし3月生まれのBoltz兄弟の幸せを願うしか頭がなかったのですが(笑)
また、航海のお守りとしての役割があるらしいです。まるで次の目的地に向けて船に乗り込んで舵を取るような前向きさもあるかなという解釈ができて面白かったです。
…と、レビューは以上です。
個人的な解釈が含みますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
これを機にASLWをチェックしてくれたら私ももちろんですが、一番に彼らが喜ぶでしょう!
ぜひSNSで拡散していただければ嬉しいです。
彼らの音楽はメロディ要素が多くので割と聴きやすいと思いますが、
のちに過去の作品のレビューをしますのでそちらもお楽しみに。
余談ですが、今作のリリース直後にRedditというサイトでASLWメンバーが
チャットを通じて質問会が行われたので参加しました。
「気に入っている曲やパート、レコーディング中に大変だったことを教えてください」と質問をしたところ、今作で大活躍したNickが回答してくれました。
「今気に入っている曲は「Eathern Lights」と「Telephone」、「Aquamarine」かな。「Poison」のブリッジパートがとても気に入っていてね。長いこと”Name”のワードをホールドしようとしたことは楽しかったよ(笑)
(その一方で)大変だったことは長い間みんなに聴かせるのに時間がかかってしまったことかな!」
ということで、満を応じてやっと完成した大作です。
是非聴いてみてくださいね!
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
次の記事にて!